焼締めと言われる、釉薬を使わずに焼き上げられる製法でつくられている急須です。釉薬がかかったつるっとした質感ではなく、磁器のような硬さを持ちながら、きめ細やかな土の肌触り。凛とした雰囲気があります。
使いこむことにより、艶と色の深みが増してゆきます。茶渋がついても、味わい深くなるのが、磁器や絵付けの釉薬掛けのものとの違いで、楽しいところ。育ててゆく感覚でお使いいただけます。
三重県四日市市の萬古焼(ばんこやき)。使う土の性質から、耐熱性に優れた特長を持っていて、耐熱性を活かした急須や土鍋作りが盛んです。この急須は、急須作りを得意とする窯元、南景製陶園による製作。
萬古焼は、その素材と製法から、焼き物の中で細かく分類すると「せっ器(火に石という漢字)」に属します。陶器と磁器の間とお考え下さい。
1200度から1300度という高い温度で焼かれ、磁器のように硬く、吸水性や気孔性がなくなります。一方、陶器との違いは、吸水性がないこと。
吸水性がないため、茶葉の香りが付きにくく、茶葉を変えてもお使い頂けます。普段使いには嬉しいところです。また、鉄分の多い土で釉薬もかけられていないため、お茶の味がまろやかになります。