一見普通のジーンズに見えますが、染めの方法が違います。一般的な化学染料のインディゴ染めではなく、徳島県阿波の正藍染め(本藍染め)の生地で作られたジーンズ。阿波正藍で、綛染め(かせぞめ)といって、丁寧に何度も手染めで染め重ねをしています。その糸を、同じ阿波の工房内でシャトル織機にかけて丁寧に織り上げたこだわりの生地です。
デニム自体、色落ちや経年変化を楽しめる生地ですが、特に、阿波正藍染め、天然の染め独特の色の澄んだ深さがどう変化してゆくか、お楽しみいただけたらと思います。
穿く人と穿き方によって、経年変化は様々ですが、いわゆる一般的なインディゴ染めのジーンズとの違いをご紹介します。まず、糸段階で丁寧に手作業で染め重ねられた綛染め(かせぞめ)のため、糸の芯まで色が染まっています。そのため、いわゆるデニムの色落ち(アタリやヒゲ)は少なく、正藍の濃紺をお楽しみいただけます。長く長く穿いて味を出したいジーンズですが、穿き込んで良い具合に育ってきたときには、同時にヒゲやアタリが強く出てカジュアルになりすぎてしまうもの。個人的な経験ですが、もっと穿きたいと思いながらも、合わせる服や着る場面を考えると、着用頻度が落ちてしまうこともありました。この正藍染めジーンズであれば、テイストはそのままに、じわりじわりと経年変化し育ってゆきます。カジュアルすぎないテイストのまま、長くじっくり穿けるのは嬉しいです。育てがいのある、長く楽しい付き合いができるジーンズです。
濃紺のまま変化すると書きましたが、この変化の仕方が、インディゴ染めと違って正藍染ならではです。洗濯の度に藍の「アク」が抜けてより青みが冴えてきます。これを「アクが抜ける」と言い、水洗いのたびに調和のとれていない物質が落とされて、より深みのある色が醸し出されます。天然染料ならではの特長です。