東京の料理道具問屋街の合羽橋の路地裏で工房を構える Six-clothing 高見澤篤さんの作品。
通常、革の問屋さんから仕入れる革素材を製品に仕立てるケースがほとんどですが、高見澤さんの製作は少し違います。
使う皮は、国内で猟師から仕入れます。そのため、使う皮は日本の山林に生きる動物。革製品で、いつ、どこで捕られたものかがわかるというのは、とても珍しいことです。食で「ジビエ」と聞くことも最近では多くなりましたが、この言葉は狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を指します。この皮を使うため、ジビエ革とも言われます。熊や鹿など、一般的にはあまり使われない動物の皮です。
食べ物に関わる調理道具問屋街の合羽橋の路地裏に工房を構えるのも、「命をいただく」という、革のものづくりにおいて大切にされている高見澤さんの姿勢そのものが表れています。製品のデザインも作りの良さももちろんですが、革製品の作り手の中でも、こうした思いを特別強く持って製作されています。
革は、食べるお肉の副産物として出た皮を使っています。1枚革を購入し、その革をほとんど捨てることなく使い切るという作り方をしています。この皮を鞣(なめ)すことで、いわゆる革素材になります。もちろん、どちらも植物のタンニン鞣しです。
通常だと、商品にしづらいので避けるような部分も、使っています。破れがあったり、使用に支障がある部分は避けますが、動物の皮ですので、傷もあれば、しわもあります。それも丸ごと使っています。個体差も大きいため、写真をご覧ください。
このように無駄のないように使っても、革自体、サイズは一頭一頭違って決まっているものではないため、どうしても裁断時に細かな部分が出てきます。その小さな革も、パッチワークによって使っています。作るのはもちろん大変ですが、デザインとしても素敵ですし、ステッチ自体も良い雰囲気です。
高見澤篤さんの製作について、詳しくは
ジビエ革のものづくり 記事一覧
をご覧ください。
本体は一枚革で内布もなく、中には仕切りやポケットなどはありません。白い縫製糸とステッチの表情が特徴的で、独特の佇まいになっています。
金具も、東京下町の小さな町工場で、オリジナルで作っている金具。革の素材と良く合うヴィンテージのような風合いと、使いやすいシャープな形です。
チェーンは簡単に千切れにくいように真鍮のロウ付け仕上げです。こちらもヴィンテージ感のあるマットな形と見た目で、落ち着いた良い雰囲気。