シャトルリネンのトートバッグを、柿渋で製品染めしています。
シャトルリネン25HD マルチクロスMの生地を使っています。
キッチンクロス用に作られたリネン100%の生地で、PINTの一番最初の製品でもあります。旧式の織機で糸量たっぷり超高密度に織られた、他にない特別な風合い。
リネン帆布のトートバッグで使っているリネン帆布生地よりも薄いですが、その分薄くて軽い生地感。柿渋染めで硬く張りが出ているので、軽くても強度があります。
このままバッグにすると、あまり生地の特徴が生かしきれなかったため作っていませんでしたが、京都で服やバッグの製作を行うtakeshi kandaさんとの出会いがあり、この生地で柿渋染めのトートバッグを製作いただきました。
柿渋染めは、渋柿を砕いて絞った汁を寝かせて発酵させたものを染色液として染める、草木染めの一種です。柿渋は、昔から、染料だけではなく塗料や接着剤として紙や布、木材の防水剤・防腐剤として使われてきました。柿渋染めはとても不思議で、染色だけではなく、繊維をコーティングして布を硬くして強度を増してくれます。
トートバッグを製作した後に、柿渋の染め液にトートバッグを浸け、日光に当てることを繰り返して色を定着させます。媒染という工程を行わず、柿渋そのままの色味で仕上げています。強い日差しが必要なため、夏を中心に製作を行っています。
ベースの生地が薄めで高密度ということもあり、ばりっとした硬さと張りがあります。硬い紙のような質感です。草木染めや本藍染とは異なり、日光に当たると色は濃く深まってゆきます。また、使ううちにこの硬さはだんだんこなれて、少しずつ柔らかく馴染んできます。
リネン生地らしい艶も出て、綺麗な色に染まり上がりました。超高密度で糸をたくさん使っていることもあって、厚くない生地ですが、強度と張りは十分。気兼ねなく、どんどん使って、レザーやデニムのように経年変化を楽しんでください。
takeshi kandaさんらしい作りで、ステッチや生地の活かし方が表情豊かで、味わい深く愛着の湧くバッグに仕上げてくださいました。
片側には、生地耳にあるダブルラインが縫い合わせてあり、4本のラインが入ります。もう片側はダブルライン部分は切り落とされているのでラインなしです。
縦、横どちらにもA4サイズが入ります。マチは大きくは取っていないので、コンパクトに持っていただける大きさです。内側にはポケットが一つ付いています。
レザーバッグのように、育てて使い続けられるバッグ。経年変化を楽しみながら、たくさん、長く使っていただけたら嬉しいです。
<一緒に着用している製品>
MITTAN / 大麻ロングシャツ ベンガラ白 SH-30B / unisex
木間服装製作 / pants kahki / unisex 1size
[ アクセサリー:Nymphs ] *