三浦治

三浦治

新しく取扱いを始める作り手を紹介します。

三浦治さん。千葉県の九十九里浜の近くにアトリエを構え、木材のみならず、自身で拾い集めた流木や廃材などを使って、木工や家具という枠に捉われない製作活動をされています。

PINTでは、流木や廃材ではなく、栗の木で作る鏡をご紹介します。納品されたのは昨年の冬の初め。店頭のみでの販売でしたが、webでも取扱いを始めます。

 

 

三浦さんとの出会いの最初は、2020年。場所は千葉県鎌ヶ谷にあったCBPACというお店。実家の近くだったこともあって存在を知り、”店内全て千葉のもの”というコンセプトに興味をひかれて訪問しました。食べ物、雑貨、本に音楽と、ジャンルレスに選りすぐりの千葉のものが並び、羨ましくなるくらい素敵な店でした。店主の柿木さんもPINTのことを知ってくださっていて、色々お話も楽しみました。全く知らずに行ったのですが、このとき、ちょうど三浦治さんの家具の展示イベントが開催されていて、一目惚れして、京都の店用に細長の鏡を購入しました。

それからずっと店内で使っていたので、見覚えのある方も多いかもしれません。なかなか出会うことのない極端な細長のインパクトと、細い割に意外と見えるぞということで、よくお客さんからも興味を持って聞かれました。ただ、他のお店で買い物したものでしたし、取扱いや販売という発想はないまま過ごしていました。

少しずつPINTの家具未満シリーズのご注文も増えてきて、テーブル脚(2024年6月には販売予定)など新作の試作も進み始めた頃、店内で鏡を見たお客さんから続けて問合せをいただくタイミングが重なり、三浦さんの鏡の取扱いを考え始めました。鏡は世の中にたくさんありますが、この細長の鏡は他にないものだと思うし、店内で使い続けていただけにうちのお店にも合っていて、偶然ですがPINTで展開している"家具未満"らしさもあるもの。PINTで鏡を扱うなら、これ以外にないと思いました。

元々、PINTではオリジナル製作をベースにした流れや、個人的な縁からつながった作り手との取組みが多く、販売イベントや展示会、webなどで出会うことはほとんどありません。今回のように、他のお店で知るというのは慣れないケース。出会いのきっかけをくださったCBPACに、改めて相談に行きました。コロナ禍でもあったので、3年ぶりです。同じ千葉県内の野田市に拠点を移し、空間も広くなりアップデートされていました。お伝えすると、快く三浦さんを紹介くださいました。これが2023年春。その後夏に、三浦さんに会いに千葉県長生郡に行きました。

 

すごく天気の良い日で、降り立った駅からは、直接は見えないものの、海がすぐ近いことがわかりました。迎えに来てくださった三浦さんは、爽やかで綺麗な、ゆったりした雰囲気を纏っていて、電車を降りて感じた空気とぴったりでした。

 

 

長生郡は九十九里浜の南端で、工房を併設した家からは浜辺から近く、サーフィンと製作が中心にある暮らし。

三浦さんは家具製作の経験を積んだ後、ここに移住されて製作を始められました。最初は家具製作をメインに、だんだんと流木や古材を用いた製作の比重が高くなってきています。そうした一点ものをギャラリー展示で発表されながら、家具類の製作も続けられています。

工房で色々な作品を見せてもらいながら、海と波のある暮らしのこと、流木や廃材のこと、今とこれからの製作スタイルについてお話を聞きました。暮らしとものづくりが真っ直ぐにつながっていること、自然物や古い物など、素材や経年への温かく強い敬意を感じました。廃材で一点ものだからという意味ではなく、見たことがないものばかりで、新しいものと出会ったような感覚。でも、狙ったような感じが全くなくて、静かな、強い美しさがありました。

素材や製法においては木工家具の作家・職人という位置付けになるのかもしれませんが、色々な意味で、その枠には全く入っていないという印象を受けました。

 

  

まずPINTで取扱いを始めるのは、細長の2型と、四角の3サイズの鏡。

あまり見かけない形だけれど、奇を衒った感じは全くなくて、日々の暮らしの中にすっと馴染むような使いやすさがありつつ、ものとしての存在感もある。

栗の無垢材を使い、黒系色はカシュー塗料、グレーベージュ系色は鉄媒染。鉄媒染は塗料ではないため色の安定性はありませんが、柔らかく温かみのある色と質感が出て、これも三浦さんらしさを感じます。

PINTでは取扱いの少ないインテリア、しかも初めての鏡。撮影がなかなか進まずに、店に届いてから、webで紹介するまで時間が経ってしまいました。この期間中にも、店頭ではたくさんの方にご覧いただき、そして私自身が日々一緒の空間で過ごして、やっぱりこの鏡だ、と改めて強く感じています。

京都の店舗では、全種類ご覧いただけます。撮影・店頭にある現物は展示品として、ご注文後に製作し、三浦さんから直送という流れになります。

床置きで立て掛けても、壁に掛けても。各型、大きすぎないサイズと形なので、今の空間の中に加えて、楽しんでいただける鏡です。

 

三浦治|鏡 一覧

 

 

三浦治さんのinstagram @osamumiura_