本藍染めリネン風呂敷 蛍重
- # 60番手薄手リネン生地
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【受注製作】受注後、製作いたします。ご注文とご入金確認後、おおよそ1ヶ月ほどお時間をいただきます。
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PINTのリネンハンカチと同じ生地で作った風呂敷を、本藍絞り染めで製品染めしています。
風呂敷というと縮緬や、綿もしくは化繊のものが多いですが、PINTで使っている、艶と張り感のあるリネン生地を見て、生地感と柄が活きる大判の風呂敷を作りたいと思って生まれたものです。サイズは90cm角ですので、旅行や、荷物を運ぶときにしっかり使えるサイズです。生地は薄めでかさばらないので、「大は小を兼ねる」使い勝手の良い仕上がりになっています。風呂敷という名前の通り、使い方は自由で限りはありません。包む、掛ける、敷く、拭く、覆う、なんでもお使いください。薄手で大判の正方形。風呂敷は、数ある布物や道具の中でも、本当に優れたものだと感じます。使い方の自由さに加え、携行性もあって、個人的には一番くらいにリスペクトのある道具。
私は、仕事では商品をまとめて持ち運ぶときに、小分けの袋としてまとめて包んだり、緩衝材がわりに一つのものを包んだり。旅行の時には着替えを包み、リネン素材だとジムやお風呂ではタオルがわりにもなります。店では掛けて飾ったり、掛けたり。
私個人はそんなざっくりとした使い方ばかりですが、もちろん、結び方を工夫してバッグのように使ったり、贈答用の包み方もたくさんあります。ただ、そうした結びテクニックなどは全くなくても、単に包んで、紐のように結ぶだけで十分活躍できます。(結ぶと結び目が嵩張るので、薄い大判布で包ぶというのが一番とも思っています。)
とても楽しい道具なので、使ったことがないという方も、是非お試しいただきたいです。
染めは、藍染めの本場の徳島で修行を積んだ坂由香里さん。
天然灰汁醗酵建て(てんねんあくはっこうだて)と呼ばれる、江戸時代から変わらない技法の藍染め。蓼藍を発酵させた蒅(すくも)と、小麦の麸などを用いて藍甕で染液を作ります。この染液を、日々、目と匂い、触感、ときには舐めて状態を確認し、かき混ぜて発酵を促して調整し続けます。
この染液には様々な有機物が混ざっているため、本藍染めならではの深い美しい色が出ると言われます。発酵が進む、気温の高い春から秋にかけて染めを行います。
この藍甕に、染める生地や製品を浸けて、揉んで、しっかり生地に馴染ませます。藍甕の染め液の中で色が入るわけではなく、空気に触れ、酸化することで色が入ってゆきます。化学染料のように一度で色がくっきり入る訳ではないので、これを1日に数回、1~2週間に渡って繰り返します。こうして、回数と時間をかけて染め重ねて色を定着させてゆきます。
生地をそのまま染液に浸けると無地になりますが、絞り(しぼり)という技法により、柄を入れています。絞りは、藍甕に浸けて染めを行なう前に、布を折り畳んだり結んだり、針を通したりして、布に前加工をしてから染液に浸けます。その布の前加工の形により、染料が入る部分、入らない部分に分かれ、それが絞り柄となります。型などがあるわけではないので、はっきりした色の境はなく、全てグラデーションになります。白から濃紺まで、様々な藍色が重なり入る色は、本当に美しいです。
この柄は、「蛍」という伝統的な絞り柄です。生地を蛇腹状に折り畳み、針を刺すことで、このような柄になります。藍の濃紺の中に、ぼんやり浮かび並んでいる白い蛍が幻想的な柄です。縦に2列、帯状に柄を入れて染めています。
本藍染めは、ただの藍色ではなく、赤や緑など、様々な色が混ざってこの色になると言われています。実際に日光の中で見たり、揺らしたりすると、赤っぽく見えたり、黒っぽく見えたり、紫っぽく見えたりと、豊かな表情を持つ布です。草木染めも、乱反射を行なうために鮮やかな色を映すと言いますが、このあたりが、天然染めの魅力だと言えます。
染める風呂敷は、リネンハンカチと同じ生地を使っています。風呂敷は三つ巻縫製にしています。化繊の糸だと天然染料は色が入らないため、縫製糸は綿糸にしています。
リネン生地の作り手は、滋賀県近江湖東産地で近江上布の伝統を受け継ぎ、現在は主にアパレルのコレクションブランドの生地を製造している、リネンの素材と織りを知り尽くした職人です。
昔ながらのシャトル織機で、1時間に1mから2mのスピードで丁寧に織り上げています。
現代、主に使われているレピア織機に比べて生産スピードは非常に落ちますが、シャトル織機でしか出せない密度と生地の風合いがあります。
織機で、糸の状態で引っ張る力を加えられるとリネンは切れやすいため、織り進める間にも糸は切れ、それを1本1本手で結びながら作業を進めます。
このシャトル織機で織るには、熟練の技術だけでなく、根気もいり、時間を要します。コットンのデニムや帆布などの、太い丈夫な糸はまだシャトル織機で織られているところもありますが、シャトル織機による100%のリネン生地はなかなかありません。
これが、シャトル織機で緯糸(よこいと)を通すシャトルと呼ばれるもの。
重い木でできていて、これが左右に行き来して緯糸を通します。その動きが衛星のようで、シャトル(衛星)と呼ばれます。一方、現代のレピア織機などは、エアジェットで緯糸を飛ばす仕様です。この違いだけでも、そのスピードの差がイメージできるかと思います。
リネンという、織りの際には扱いにくい特性を持つ上、細い糸は特に切れやすいため、生地作りの難易度は上がります。
この生地は60番手という、シャツなどによく使われる細めの糸をたっぷり使い、高密度に織り上げています。リネンというともう少しぼこぼこしている糸のイメージもあるかと思いますが、まっすぐ綺麗な糸であることが分かるかと思います。紡績という、糸を作る工程の仕事が、ここに反映されます。悪い糸ですと、高密度にしっかり織り上げることが難しいので、全行程の品質が揃って良い必要があります。高密度で織ると、毛羽が立ちにくいことに加え、糸もたっぷり使っているので、吸水性もアップします。また、良い糸と高密度の組合せは、滑らかな質感を生みます。
リネンの繊維の特性上、特に細番手の場合は、化繊やコットンのような真直ぐな糸にはなりませんが、ネップ等は少なく、綺麗な糸と織り生地仕上がりになっています。
この生成り色の写真は、同仕様・別色の生地です。生地感の参考にご覧ください。
細番手の糸生地に藍色がしっかり入って、リネン独特の艶もあり、毎回の染め上がりの納品のときには色の綺麗さと表情の豊かさに見入ってしまいます。
生地と染め、とても良い相性で上手く掛け合わせることができました。藍染は色も濃いため、汚れも気にせずに使えるのも嬉しいところ。使い込むと、生地が柔らかくなりつつ、染めの色も合わせてこなれた感じになります。長く、たくさん使って、育てていただきたいです。
【素材】
リネン100%
本藍染め(天然灰汁醗酵建て)
【サイズ】
90×90cm
製品染めをしているため、縮みが生じており、多少の差があります
【外装】
なし
【取扱い・お手入れ】
最初の数回は、色移りを防ぐため、先に水通しをするか、通常の洗濯物とは分けて洗ってください。本藍染めの場合、いわゆるデニムほど大きな色落ちになることは少ないです。強い摩擦等により、色が移ることはありますが、風呂敷としての使用範囲内であれば、問題なくお使いいただけます。色が移った場合でも、洗えば落ちることが多いです。
お洗濯には中性洗剤をお使いください。乾燥機、漂白剤、柔軟剤、蛍光増白剤などの使用は、変色や生地の風合いの大きな変化が生じる可能性が高いため、お避けください。脱水時の摩擦による色移りを防ぐため、洗濯機の場合は洗濯ネットの使用をお勧めします。
長時間の日光照射に弱く変色しやすいため、お洗濯後は陰干ししてください。また、蛍光灯でも退色する場合がありますので、長期間の保管の際は、光の当たらない場所での保管をお勧めします。
アイロンをかける場合は、高温設定でなく、中温以下の設定をお勧めします。高温設定時には、当て布をあててください。
*よくあるご質問・補足コメント*
・本藍染めの風呂敷は、他にも柄種類があります。また、ハンカチもあります。
・以前はオーガニックリネン生地を使用していましたが、糸原料の調達が困難になり、継続ができなくなりました。同じ番手、厚み、色で、オーガニックでない糸を使った生地を使用しています。