箱階段(箱梯子) -日本の民具-

こんにちは、中地です。

記念すべき日本の民具の第1弾はこちら!

先日の三重県への旅で、関宿にて出会った箱階段。
みなさんはご存知ですか?

私はその存在に惹かれてはいたものの、初めて見た、生の箱階段に町家資料館にて興奮していました。
写真はこちら。



ひねりはないけどその潔さが素敵です。
見てのとおり、箱を重ねたようになっており、階段の側面が抽斗になっているのです。
江戸時代にできたらしいです。

江戸時代といえば、街では狭い町家に住む暮らしだったので、狭いスペースをいかに有効に使うかという知恵の結晶ですね。
町家だけでなく、蔵の階段にも使われていたらしいです。



これで実際に町家の2階に上がれたのですが、もちろん安定感も抜群でした。
階段とはいえ、つくりつけになっているものもあれば、置く形の、いわば階段型の箪笥のものもあるそう。
手すりはあったりなかったりするようです。
ちなみに、手すりがある場合を特に指すと思われますが、箱梯子とも言うそう。

この、何か(階段)のついでに他の何か(収納)を満たす。
こういう納まりの良さ、個人的にもものすごく大好きです。
スマートで気持ち良い。

今も狭い日本の住宅事情にもぴったりかもしれませんね。


民具の名前や呼び方ですが、この箱階段と箱梯子のように、名前は統一されていなくてばらばらな場合が多いようです。

昔は情報も今のように行き渡らないし、民具自体、それぞれの地域で、独自に育まれてきたものなので当然といえば当然ですが、そのあたりの違いもおもしろいですね。
もちろん言葉の問題もありますが、西と東で、文化的な違いはあるし、北に行けば寒くなってまた家も道具も違ってきます。
同じ民具でも、地域によっての違いを発見するというのも、このマニアック探索の愉しみに加えようと思います。

箱階段は、町家づくりで効果を発揮しそうなので、この関宿のような宿場町や、栄えた町に多そうですね。
次はどこで箱階段と出会えるでしょうか、江戸か京か大坂か。

このマニアック民具シリーズ、少しでも飽きずに読んでいただければと願い、次回の記事は何かしら小物をご紹介しようと思います。


中地