使い手と作り手がつくる、暮らしの道具。
製作はPint!のパートナーである日本の職人。
企画するのは、バイヤーでもデザイナーでもない、使い手の皆さん。
実際にこの素材はどういう特長があって、何に適しているのか。加工技術はこれができて、これはできない。どのような工程を踏んで、どれくらいの時間をかけてものが作られるか。また、昔作っていたものと、今はどう違うのか。(例えば、木の挽物では、かつては旅館向けに茶櫃や盆が大量に作られた時代がありました。もちろん今は少なくなり、他のものを作らなければという状況です)
こういったことを、職人とPint!からまずお伝えします。
それを知った上で、使い手の皆さんが、その素材や技術を、今の暮らしにどう活かしてみたいか、どうフィットさせられるかを、普段の暮らしの使い手目線から考える。
これが、Pint!が設立当初から目指していたものづくりの形。
もう少し詳しくお伝えします。
作りたいものは、暮らしの道具です。
古くは、自らが家の周りで採れる材料で、自らが使う道具を作っていました。
必然的に天然素材であり、毎日の道具として作られたものは、シンプルで使い勝手がよく、静かな美しさと強さを持ちます。
そして、天然素材は、使ううちに馴染み、育ってゆきます。
これは時系列的には、柳宗悦の民芸という概念よりも過去に遡りますが、民具と位置づけられます。
この、民具というものの生まれ方で、今の暮らしに合った道具を作りたいと思いました。
現代の民具を作るのです!
ものをつくるのは、使い手の参加者ではなく、作り手。(ここがワークショップと違います)
Pint!の代表中地が直接産地を訪ね歩いて出会った、腕の確かな職人です。
製品企画をするのは、使い手。
毎日の道具を考えるにあたっては、デザイナーやバイヤー、作り手ではできないレベルのものづくりができると思います。
単に使い手目線だから、新しい視点であるはずという意味ではなく、「使う」ことにフォーカスした企画は、ある意味非経済の個々人が最強だと考えています。
(売り手側から製品企画を考えると、「売る」ことにフォーカスせざるを得ない面が出てきます)
使い手と作り手をつなぐのはPint!。
ワークショップやデザイナーとのコラボにとどまらない、ものの生まれ方を見直した企画です。
Pint!の中核をなす企画。
2014年は、かぐれと共同でこれを行なうイベントを開催することができました。
名前は「みんなのどうぐ」(かぐれ共催企画、かぐこラボ)です。
2014年の夏から冬の約5か月、全5回立てで、8名のお客様にご参加いただきました。
今回企画した製品は、「毎日使いの拭き漆の器」
製作は、長野県南木曽のカネキン小椋製盆所の小椋さんにお願いしました。
3回目には機械を表参道店にお持ちいただき、実際に木地を挽き、小椋さんとのやり取りをしながらの製作。
ご参加くださった皆様、小椋さん、かぐれスタッフの皆様のおかげで、素晴らしいイベントとなりました。
完成品は、こちらです↓
各回の詳細レポートは、下のリンクよりご覧ください。
1回目 7/12(土) 素材「木」のこと
2回目 7/26(土) 器の「かたち」製品企画会議
3回目 8/10(日) 木地師を招いてサンプル製作
4回目 9/21(日) 仕上げ「漆」のこと
5回目 12/6(土) 完成披露 料理持寄で器に盛り付けて打上食事会
ものづくりを0から進めました。
この器は、このイベントのための製品ではなく、Pint!でも、かぐれでも販売します。
一般の使い手の皆様と、これだけの時間と回数を重ねてものづくりをすることはなかなかないと思いますが、増えてゆくといいなぁと思っています。
単にものづくりを体験という点のつながりではなく、ものが生まれる0からを知り、触り、一緒に辿って考える。
自分の子供のような感じかもしれません。
使い始めてからも、ずっと、素敵な関係でいられると思います。
点ではなく、線や面でつながれるところが良いなと思っています。
この企画は、単に消費者目線の企画をかき集めて売れるものを作る趣旨ではありません。
完成品自体も大事ですが、そのプロセスで、広く多く浅くなりがちな「もの」との関係性を見直したり、ものを知ることで自分の判断基準が作れたり、暮らしを見つめてみる機会になればと思っています。
これからも、この企画は続けてゆく予定です。
できるだけ増やしてゆきたいと思っています。
今年は、東京以外の場所でもお声掛けいただいており、地方開催も準備中です。
その地域の作り手と使い手と企画をすること、今からわくわくしています。
ご興味のある方は info@pint.mn までお問い合わせくださいませ。
共同企画をする方(お店、美術館、ギャラリー、自治体等)、作り手の方、使い手の参加者の方、場所や業種に限らず、遠慮なくご連絡いただけましたら嬉しいです。
一緒にやりましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
中地