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【イベントレポート】みんなのどうぐ vol.0(かぐこラボ)第2回 ~器のデザイン~

【イベントレポート】みんなのどうぐ vol.0(かぐこラボ)第2回 ~器のデザイン~

第1回目は木について知り、触り、学ぶ会でした。 第2回目は、第1回目を踏まえて、実際に製品企画、器の形やデザイン等、仕様決定をしました。とはいっても、「挽物」という技術という制限がまずあります。挽物はろくろで木材を回転させ、刃をあてて木を挽きます。イメージしやすいのであえて書くと、お椀や丸皿を作る技術です。そのため、まず、形は丸い形であることが条件です。 そして今回のテーマが、「毎日使える拭き漆の器」。 いかに食卓への登場機会が多いかを考えます。汁椀でも丼椀でもなく、大人数の家族でも使えて、一人暮らしでも使える器。おかず皿としても、取り皿としても使える器。木材の乾燥の段取りも必要なので、高さと直径の、大まかなサイズもあらかじめ決定してあります。 確定条件として、木材は欅を使用。汁物を入れるお椀に適した材です。 今回の目標はオリジナルの器作りではなく、「毎日使える拭き漆の器」を作ること。そのため、デザインを書く、好きな形を書くということではなく、いかにこのテーマで、使いやすい器を作るか?オリジナル器ではなく、製品企画会議です。今の暮らしのプロである皆さんにお集りいただいているので、その点を活かしたものづくりにするのです。 実際の形に入る前に、皆さんの毎日使っているお気に入りの器をお持ちいただき、紹介いただきました。性別、年齢、家族構成もばらばらで、暮らすシーンによって、毎日使う器にも様々な形や在り方があることがわかり、とても興味深いプレゼンタイムでした。 その後、挽物の技術をおさらい。木の塊から切り出し、今回の器になるまでを、特別にご用意いただいたサンプルを使ってご紹介。 この工程や技術をまず知らなければ、木の挽物ならではのものづくりはできないと思うのです。単にアイディア商品、好きな形を作るということに留まってしまいます。 ここまでの流れをみんなで共有して、ブレイクタイム。 最初のプレゼンで出た食卓シーンから、 「おかず皿として、食卓みんなで共有するため、器の縁は外反りで」 「おかずはもちろんだけど、お鍋の取り皿にも良さそう。絞めのおうどんも。あ、夏にはそうめんも」 「取りやすく、他の洋食器ともマッチするよう、高台はなくそう」 「高台をなくす代わりに、しっかり持ちやすいように、裏面は指にかかりやすい凹みをつける」 「この器でお茶漬けを食べたい!」 など、いろいろな意見が出ました。 男性も女性も持ちやすい形、指にかかりやすい凹みをつけることも。 こんな意見がたくさん出てきたところで、実際に皆さんに器のデザイン(形)の線を描いていただきました。 集めた皆さんのイメージはとても近かったです。 皆さんにコメントをいただきながら最終形の仕様のポイントを整理し、一つの仕様書におさめました。 線を描くところはある程度好みも反映されそうなところで内心どきどきしていましたが、良い雰囲気でまとまりました。この最終仕様書を元に、次回はいよいよ木地師の小椋さんにお越しいただきます。 次回をお楽しみに! 中地

【イベントレポート】みんなのどうぐ vol.0(かぐこラボ) 第1回 〜素材〜

【イベントレポート】みんなのどうぐ vol.0(かぐこラボ) 第1回 〜素材〜

ずっとやりたかった、使い手と作るものづくりプロジェクト。かぐれさんと共同開催できることになりました。(追記;そのため、名称が「かぐこラボ」になっています。この後、Pint!のみんなのどうぐとして名前を改めます) 一般の使い手の皆さんと一緒に1つの製品企画を行なう、新しいものづくりの形です。 拭き漆の器を知り、その道を素材から辿りながら、職人さんにもお越し頂いて、数ヶ月掛けて皆で一つの器を作り上げることが今回の企画のメインテーマ。 毎日使いたい手の平サイズの器を皆で考え企画し、職人さんに作っていただきます。 全5回のうち、最初の回がついにスタートしました。 日時:2014年7月12日(土) 11:00〜12:30 場所:かぐれ表参道店 イベント紹介ページへ 第1回目のテーマは、まさに出発点の「素材」について。漆器なので、「木」についてです。雑貨や器の企画でここまで遡ってご紹介できる機会は滅多にないので、気合いが入ります。 参加者は7名。皆さん、柔らかな雰囲気の方ばかりで、初めてお会いするにも関わらずスタートから和やかな空気でした。今日は急用で欠席の方もいらっしゃいましたが、このメンバーで、残り4回、器を一緒に作ってゆきます。楽しみです。 講座でもワークショップでもないこのイベント。座学にならないように、「素材」を「知る」ではなく、「触って感じる」ことに重点を置きながら、紹介しました。 まずは、日本の木の歴史をさらりとご紹介。日本では古くから木は身近で豊富な資源であり、食料(木の実)、道具、建築など、様々な用途に使ってきました。木の中にも様々な種類があり、特性があるのです。この木のサンプルを並べて、木肌、木目、色、重さ、硬さの違いを触って感じていただきました。 この同じ大きさの木のブロックでも、一番軽い木と重い木では、重さは3倍近くの開きがあるのです。重さや硬さなど、木の特性を見極め、最適な形で木は活用されています。まさに適材適所です。 次には、「道具」としての木製品。民俗学的な分類方法の一つですが、技術別に5分類に分けて、サンプルとともにご覧頂きました。こちらも全て実物を触っていただけます。 Pint!とかぐれさんの商品ラインナップを足すと、全てが揃いました。一覧で、分類で見られる、もしくは案内される場はなかなかないと思います。木製品の道具の歴史をご紹介しながら、実物に触れ、その生まれ方や作り方に思いを巡らせました。 今回の企画で作る拭き漆の器は、「挽物(ひきもの)」と呼ばれる技術。この特長や、製作の制限、かかる時間など、ものづくりの制約を共有して、次の第2回目に続きます。 第2回目は「かたち」について。テーマの毎日使いたい手の平サイズの器を、皆で考えます。木だけではなく、普段使っている器を持寄り、他の素材の器も見ながら、器のかたちを考えます。 2週間後の第2回目が今から待ち遠しいです。 中地